娘の書き置き1
パパへ
先生はパパが
後で私を助けに来るって
言ってた
いつ来るの?早く来て!
化け物がいっぱいいて
頭がおかしくなりそう

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※原文のままです。
娘の書き置き1
パパへ
先生はパパが
後で私を助けに来るって
言ってた
いつ来るの?早く来て!
化け物がいっぱいいて
頭がおかしくなりそう
娘の書き置き2
ここの人たちは生きているの?
死んでいるの?
娘の書き置き3
この目で見た
化け物を倒している人がいる!
彼のところに行ってみるの
パパのこと知ってるかも
悪い人だったら困るから
手紙と私の宝物を隠していくわ
娘の書き置き4
殺人鬼
あの人は自分が殺人鬼で
化け物を殺すのが仕事だって
言ってた
強力な武器が欲しくて
私に使えるものを探させたのに
「役にたたない小娘だ」と
怒鳴って いっぱい殴られた
逃げたら殺されるかも
逃げなくても殺されるかも
娘の書き置き5
皆化け物になってしまうの?
背の高いおじさんが
迷子で困っていたから
一緒に歩いたの
どこから来たか
思い出せないんだって
見えないお兄さんに
いつも話しかけるから
怖くなって逃げたら
追いかけてきて
化け物の姿になってた
私もそうなるの?
変なことが多すぎて
ここに来る前のことが
ずっと昔のことに感じる
娘の書き置き6
そういえば
自分がどうやって
ここに来たか
記憶があいまいだわ
たしか治療で
パパと喧嘩したんだっけ
私が治るかもしれないのに
「ルベンは信用できない」って
それから私が勝手に……
娘の書き置き7
私は大丈夫
眼鏡をかけていても
話せる感じじゃなかった
あの人の笑い声が
頭の中でグルグル
あの人はもう自分が
誰だかわからないんだわ
自分を見失わない秘訣は
ここから出たら
何をするか考えること
娘の書き置き8
先生に久しぶりに会った
目の前の道を前に進めだって
娘の書き置き9
たくさん怖い目に会ったはずなのに
あまり思い出せないから今は楽
娘の書き置き10
どうしよう
パパとママの名前が
とっさに出てこなくなることが
これで5回目、たぶん……
こんなに大切なことが
頭から消えていくなんて
私の腕にタトゥーを入れて欲しい
娘の書き置き11
ねぇ 先生は
パパのこと覚えているの?
娘の書き置き12
震えが止まらない
パパの顔が思い出せない
私が私で無くなっていく
手足がいっぱいの化け物が
歩いていたから
食べられて楽になろうと
思ったけど……
パパに会いたい
会うまで死ねない
娘の書き置き13
先生 どこに行ったの?
誰もいなくなった
娘の書き置き14
もう私の傍に来ている
さよならみんな
パパごめんね