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Chapter 1 An Oath

手記番号231

被験者たちの精神状態が弱ってきたため、研究に
支障が出てきた。ビーコン精神病院の患者を使った
実験を中止し、もっと精神が安定している被験者へ
移行することをメビウスの連中は望んでいる。

STEMの実用化を急いでいるのだろう。

普通の人間の場合、患者たちと同じような世界を
体験するのだろうか。精神状態が良好な脳だった
場合、体力を消耗するこの実験に
どう反応するのだろうか。

またあの夢を見た。

私がSTEMに入る夢を…

手記番号16

何か月にも及ぶ秘密と口実の説明…
いわば洗脳の末、やっと彼らの一員として
認められた。この組織はお世辞にもシンプルとは
言い難い。近代的な外見とは裏腹に一世紀ほども
前から研究を行ってきたのではないかと
思わされることがある。

私が把握している限り、ここの施設は
いくつもあるうちの一つに過ぎないようだ。
そうそうたる家系が根深く絡んでいて
その財力についてはいうまでもない。

それをふまえると私の可能性も広がってくる。
私がビーコン精神病院で行ってきた独自の研究が
一目置かれ、この機会に繋がった。
大変有難いことだ。

ここでは予算は二の次で結果のみが重要だと
言われる。昨今の基準からすると随分と古く
感じられる仕事の取り組み方だと感じる。

病院での本来の仕事と両立することも
問題なくできそうだ。

しかしあのルベン…

あの若さで既に彼の研究は目を見張るものがある。
今はそこまででもないが、近い将来私の研究を
手伝うことになるかもしれん。

手記番号229

STEMに繋がれた患者の様子がおかしい。
症状が悪化している。

STEM経験者達が体験した個人的なトラウマを
お互い共有している様だ。あたかも、皆の
心の奥底にある恐怖がシステムの脳髄に
残存しているかのようだ。

最近の患者の証言が気がかりで仕方ない。
どの患者もフードを被った人物がゆっくり
向かってきたと言っている。

まさか… 彼なのか?彼の意識がゴーストとして
システムに残存しているというのか。

私はかつてこんなにも好奇心を満たされたことが
あっただろうか。

知りたい。患者が見ている世界をこの目で
見てみたい。でも今は危険すぎる…

Chapter 2 Crossing Paths

手記番号239

さらに悲惨な事が起きている。被験者たちが…
次々と死んでいる。STEMに繋がれたままの
突然死だ。なぜか皆、苦悶と驚愕の表情を
残したまま死亡している。

生き残った被験者たちは緊張病性行動が酷く
話す内容が支離滅裂でヒアリングが困難な状況だ。

プロセスに何か変更を施した訳でもない。
単に患者がSTEMの負担に耐えられなく
なっただけか…

もしかすると、精神状態が良好な被験者で
システムを浄化する必要があるのか…
ともかく今のシステムは不安定だ。
メビウスは容認しないだろう。
今回、責任は私のみにある。

ビーコン精神病院にある、もう一つの
プロトタイプの準備が整ってきた。
準備が完了すればワイヤレスシステムへの
変換を開始する。

万一、今のSTEMの研究が失敗に終わった
としても、次世代機の存在をメビウスに
説明すれば面目を失わずに済むかもしれん。

手記番号246

今日は驚いた。
今日最後のテストグループの被験者…
どうせまた支離滅裂な話しか聞けない…
下手したら死亡してしまうと思っていたが
被験者番号105-レスリー・ウィザーズは違った。

ルベンは彼が被験者として相応しくないと
除外していた。でも知っていたに違いない…
私に自分のメモを読まれることも。
他にも私から隠していたことはあったのだろうか。

しかしこのレスリーという少年…
実験から戻ってきた彼の話は説得力があった。
STEMの中での経験を冷静沈着に話していた。
彼の独特な病変が、STEMの中のナビゲートを
可能にしたのだろう。

連中は少年の存在を知らないが、あの子が鍵になる
のは間違いない。全員が意識を共有すれば…
彼と一緒なら私もSTEMを体験できるかもしれない。
中にいるゴーストの影響すら、抑制することが
可能かもしれない。

この技術の確立に関わってきたが、彼となら
私自身がその技術を極められるかもしれない。
メビウスの連中も私の価値に気付いてくれる。
昇進の話も夢ではない。

手記番号215

最優先プロジェクトとなったSTEMの研究は
全面的に支援されることになり
他の研究チームも後方支援に加わった。
科学チームや植物学チームですら、何れ
接続されるだろう被験者の準備作業に
当っている。

プロトタイプが稼働しているからには
暫く実験が続くのだろう。STEMの実験を終えた
被験者たちはかなり詳しくヒアリングされている。
患者の症状から彼らそれぞれの体験を読み取る
ことができるが、共通点もある。全ての患者が
同じ場所や出来事を体験している。

これが何を示唆しているのか…

一度STEMに繋がれたユーザーは自分の意識の
破片がSTEMに残され、コミュニティが
形成されているのではと考えている。まるで
そこに新たな別世界が作られているように…

手記番号201

ルベンは自分のやったことを全く理解していない。
彼はメビウスを恐れてなかった。だから、関心を
示さないのは当然のことなのかもしれない。
STEMのプロトタイプは稼働するが、ルベンとの
接続が不可欠だ。調べてみて分かったことだが
自分自身の脳波でしか正常に稼働しないように
彼は全システムを再設定してしまったのだ。
あの装置を任せ過ぎた… その結果がこれだ。
私の知識を持ってしても、元通りにすることは
容易ではない。

この事は上の連中も知っている。私一人の責任に
されてたまるか。ルベンを引っ張り出してでも
元通りにさせてみせる。

それに、そうでもしなければ連中がルベンに
何をするか… 想像もしたくない。