破れた手紙
マルセロがあの機械を動かした瞬間
わたしにはわかった。
彼らのすべてを理解した。記憶、思考、恐れ…
ワイヤレスの波動によって多くの人間が
引きずり込まれ、わたしと混じり合う。
弱者から順にひとりづつ、わたしの糧となる。
最終的に脳の問題ではなくなる。
わたしの意識はどこにでも存在し、STEMから
切り離されたとしても変わらず在り続ける。
わたしの“容れ物”はここに、この場所にある。
わたしが自由を得るのも時間の問題でしかない。
どこまでがわたしの世界でどこからが現実なのか
これから、その境界は曖昧になってゆく。
