Chapter 3 Illusions
音声記録31:報告
エージェント:
任務開始から一週間ね
感触は
キッドマン:
命令通り、観察して報告したでしょう
今までと逆の立場になるなんて
悪い冗談みたいだけどね
エージェント:
何か気になったことは
キッドマン:
まだ何も
まだ見習いのうちは資料室に忍び込んで
捕まるわけにはいかない
彼らが我々についてどこまで掴んでいるか
調べるのは、まだ先ね
エージェント:
いま、あなたがすべきなのは
まず彼らの信頼を得ること
時間はかかっても、いずれは受け入れてくれる
キッドマン:
それにしてもあんなクセのある警官は
初めて見たわ
タフでハードボイルドな刑事コンビ
みたいなのとか
エージェント:
報告によると、オダという刑事は
勘が鋭いらしいから注意して
キッドマン:
そうする
もともと気が合わなそうだし
エージェント:
そして、カステヤノス警部
彼について何か分かったことは
キッドマン:
しょっちゅう酔ってるみたいだけど
少なくとも親切ね
聞いていたほどの要注意人物とは思えない
むしろ無害な人間に見えるわ
エージェント:
彼は時に感情的になりやすい
あまり近づきすぎないように、敬意を示して
あくまでも部下として接しなさい
音声記録26:任務
エージェント:
ここがあなたの部屋
いい眺めでしょ
キッドマン:
ウソでしょ
ああ、いままでと違い過ぎて
なんだか落ち着かないわ
エージェント:
過去のことは忘れて
あなたはもう我々の一員なの
これが鍵よ
食事や服やその他のことは自分で管理してね
あなたの口座に十分な額が入っているわ
キッドマン:
それで今後、私は何をすればいいの
エージェント:
好きなようにしていいわ
ただし、クリムゾン市警の任務が最優先事項
あなたは警官として暮らし
行動しなくてはいけない
キッドマン:
こんなの言ったことないんだけど、ありがとう
エージェント:
感謝する必要はないわ
これは我々からのプレゼントなんかじゃないの
あなたがKCPDで行う重要な任務と引き換えに
与えられたものよ
キッドマン:
ああ、そうよね
ごめん
エージェント:
謝らないで
仕事で結果を出してくれたら、それでいいわ
Chapter 4 A Ghost Is Born
音声記録4:植え付け
エージェント:
それじゃ、袖をまくって
キッドマン:
ちょっと、何そのでかい注射器
まさかそのクソみたいなもんを私に
エージェント:
ミズ・キッドマン、あなたは同意したはずよ
それを忘れないで、危害を加えるわけじゃない
これはただの“標準的な手続き”です
キッドマン:
何が標準的だ ふざけんな
あの女を連れて来いよ
代わりに、このクソみたいなもん突っ込んで
ああっ 痛っ
キッドマン:
おーい、ちょっと何なの
誰かいない
注射の後は、くだらないビデオをいつまでも
こんなクソみたいなこと、いつまで続けるのよ
キッドマン:
もう、いいでしょ
帰っていい
エージェント:
もう少しよ、ミズ・キッドマン
ご気分はいかが
頭痛はない、鼻血は
キッドマン:
え、ないけど
でもなんだかクラクラする
水の中にでもいるみたい
エージェント:
それは化合剤の副作用よ
最後にひとつだけテストを行います
それが終わったら帰ってもいいわ
キッドマン:
そう
いいわ、早く済ませて
エージェント:
では、これからあなたにいくつか質問をします
目の前にあるモニターの映像を見ながら答えて
画面から目を逸らさないで
いいかしら
キッドマン:
ええ
エージェント:
信頼していた相手から見捨てられたと
感じたことは