Mouse on Mars
Stereomission
Iaora Tahiti (1995)
これは皆様ご存知のことでしょうが、すべての人々は「ステレオ」で聴いているのです。
すなわち、音というものをボタン穴からのような点としてではなく、方向と遠近、すなわち左から斜めへ、すなわち前方から遠くまでという次元で聴くということです。
あなたは音をグルグルブーンという動きをもって、ダイナミックに縦横自在に体験するのです。
一言で言うと「空間的に」といえるでしょう。
そして空間的に聴くためには(これはステレオホールといいます)、要するにふたつの耳が必要です。
そう、ひとつ、ふたつ。
こうして、ステレオテクニックはふたつの耳のシステムを可能にします。
エジソンの円筒型蓄音機とエミール・ベルリナーの漏斗型蓄音機の時代からやむを得ず欠乏していた人間の普通の状態の再生を可能にし、繊細で興奮させる空間に広がる音を提供します。
このオリジナルMouse on Marsの録音は、音楽の真っ直中に漂えることを証明します。
聴く人も音楽の弾き手たちの真っ直中にいます。
この臨場感…。
このMouse on Marsステレオ録音はボタン穴から空間へと次元を変革しました。
ステレオは音楽愛好家の世界を広げます。
純粋な真の耳の喜びへと誘います。
ひとつ、ふたつ。
ひとつ、ふたつ。
Mouse on Marsの『Stereomission』(1995年)でした。